2022/06/08 12:29
バクチオールは、皮膚へのアンチエイジング効果が実証されているフィトケミカル(植物からとれる化学成分)です。
弊社取扱いの【エンビロン】でも有名なレチノールと同等の効果があるとされ、現在美容界でも注目の的となっています。
今日は、そんなバクチオールについて、ヒトの肌への効果を試した実験や、レチノールとの違いについて、カリフォルニア大学S. Dhaliwal氏が書いた論文をもとに、お話していきます。1)2)
何世紀もの間、植物はさまざまな病気の治療に利用されてきました。今でも、よく知られた薬の多くは植物に由来しています。例えば、解熱薬アスピリンはヤナギの樹皮に含まれるサリシンから、鎮痛薬モルヒネはケシから、などが一般的に知られています。
バクチオールは、主にインドの植物オランダビユの種子に含まれる成分で、レチノールに代わる外用薬として、最近文献で取り上げられることが多くなってきました。3)
これまでの主な研究では、抗炎症作用、抗酸化作用、および抗アクネ作用があることが判明しています。4)5)6)
ヒトの肌は、加齢や日光により老化します。皮膚は薄くなり、弾力性が失われ、シワ、不均一な色素沈着、ターンオーバーの不規則さが生じます。現在、レチノイド/レチノールは光老化の予防および治療として効果的であるとされ、美容医療分野で広く利用されています。7)
しかし、レチノールには副作用(赤み、皮むけなど)を引き起こす可能性もあります。7)
そのような副作用が強く出てしまう方にとっては、レチノールは使いづらい成分であることは確かです。
市販のアンチエイジング製品の市場が拡大するにつれ、副作用が少ないレチノイド類似製品の要望が高まっています。そこで新提案された成分が、バクチオールです。
- Dhaliwal氏の研究では、44名の患者さんに、バクチオール0~5%クリームを1日2回、またはレチノール0~5%クリームを1日1回塗っていただく試験を、12週間にわたり実施しました。1)
写真解析システムを用いて、0、4、8、12週目の患者さんの高解像度写真を取得し、解析しました。また、患者さんは副作用を検討するために、忍容性(ある医薬品の明らかな副作用を、患者がどの程度まで許容できるかを示すもの)の質問に答えました。そして試験期間中、盲検化(ブラインディング)された皮膚科医が、色素沈着と赤みについて、患者さんの肌を評価しました。
その結果、バクチオールとレチノールは、ともにシワの表面積と色素沈着を有意に減少させたことがわかりました。
シワ面積では、バクチオールでは4週間、8週間、12週間で、それぞれ5-0%、6-4%、19-0%の小じわの表面積の減少が見られたのに対し、レチノールでは4週間、8週間、12週間でそれぞれ8-3%、11-1%、23-2%の減少が観察されました。
色素沈着における評価は、12週目にバクチオール群の59%の患者さんが色素沈着に改善を示し、レチノール群では44%の患者さんが色素沈着に改善を示しました。
バクチオールとレチノールにおいて、肌への効果はほとんど同等であるとの結果が出ましたが、レチノール使用者では、顔の皮膚のかさつきやひりつきがより多く報告されました。
この実験は、バクチオールが光老化した肌を改善する能力においてレチノールと同等であり、レチノールよりも忍容性が高い(副作用が少ない)ことを実証しました。
現在大ヒットしているレチノールと同じ効果があり、より副作用が少ないというのは、魅力的ですよね。そういったことから、バクチオールは「第二のレチノール」「次世代レチノール」とも呼ばれています。
弊社では現在、バクチオール化粧品の取扱いの準備を進めています。高品質なものをお客様にお届けしたいため、原材料の下調べや、メーカーの調査などを徹底的におこない、より優れたバクチオール化粧品を探求しております。新商品の登場まで、今しばらくお待ちいただければと思います。
もちろん、レチノール化粧品の良いところも引き続き、提唱していきます。レチノールは長年の研究歴史があり、信頼のおける成分であることに変わりはないからです。弊社取扱いの【エンビロン】は、成分ひとつひとつの配合や容器にまでこだわり、徹底した品質管理の下で開発されております。
レチノールもバクチオールも、きちんとしたカウンセリングが大切です。
最近はレチノールやバクチオールのクリームを海外サイトで個人輸入して使用する方も増えておりますが、弊社としてはお勧めできません。思わぬ肌トラブルが引き起こされたり、皮膚科での処置が必要なほど、皮むけが酷く悪化してしまった方などが、SNSで散見されます。
濃度が高いものは安定性に問題があり、副作用も出やすいので、そのまま肌に乗せるのは望ましくありません。そのため、ホームケアとして毎日使うことを考えると、初心者の人は特に、ビタミンAの量が適切でありソフトな使い心地のものを使う必要があります。例えば、レチノールと一口に言っても、パルミチン酸レチノール、プロピオン酸レチノールなど、さまざまな種類のレチノールがあります。【エンビロン】では安定性と効果のバランスを研究し、これら数種類のレチノール誘導体を組み合わせて配合しています。そのため、副作用を限りなく出にくくし、効果をできるだけ高めているのです。
ご自身のお肌は一生モノです。化粧品を選ぶ際は、効果や価格だけでなく、安定性や副作用の出やすさなども考慮して、お選びいただけたらと思います。
【参考文献】
[1] S. Dhaliwal. Prospective, randomized, double-blind assessment of topical bakuchiol and retinol for facial photoageing: British Journal of Dermatology, June 2018 180(2): 289-296.
[2] S. Dhaliwal. Assessment of topical bakuchiol and retinol for facial photoageing : British Journal of Dermatology, February 2019 Pages e45-e45
[3] Mehta G, Nayak UR, Dev S. Meroterpenoids–I. Psoralea corylifolia Linn.–1. Bakuchiol, a novel monoterpene phenol. Tetrahedron 1973; 29:1119–25.
[4] Backhouse CN, Delporte CL, Negrete RE. Active constituents isolated from Psoralea glandulosa L. with antiinflammatory and antipyretic activities. J Ethnopharmacol 2001; 78:27–31.
[5] Shoji M, Arakaki Y, Esumi T. Bakuchiol is a phenolic isoprenoid with novel enantiomer-selective anti-influenza A virus activity involving Nrf2 activation. J Biol Chem 2015; 290:28001–17.
[6] Polakova K, Fauger A, Sayag M, Jourdan E. A dermocosmetic containing bakuchiol, Ginkgo biloba extract and mannitol improves the efficacy of adapalene in patients with acne vulgaris: result from a controlled randomized trial. Clin Cosmet Investig Dermatol 2015; 8:187–91.
[7] Mukherjee S, Date A, Patravale V et al. Retinoids in the treatment of skin aging: an overview of clinical efficacy and safety. Clin Interv Aging 2006; 1:327–48.